Tumbling Dharma
「達磨さんが転んだ」
Wikiによると
「遊びなどで十まで数える数え方、10文字の文章でちょうど10拍になる・・」と、ありました。
そっか1拍がもし1秒なら・・10秒間の数え方なんだなって思った。
明治に暦が改まりちょうど十年。
暦にこよりを挟むように、歳(とせ)の節目を区切るような年に
九州南部で蜂起した集団・・この国にまだ残っていた武士という名の集団でした。
彼らの装備は旧式だった。
主要装備の大砲は、砲身が発熱するために連射ができなかった。
初弾を放つとすぐに砲兵は、柄杓で水を砲身にかけ冷却する必要があった。
何度も。何度も。
水をかけ続けても冷却に要する一定の時間は次弾を発射することができなかった。
ひい・ふう・みい・よお・いつ・むう・なな・やあ・ここ・とお・・秒
砲兵隊長は叫んだ。
「射てっー・・・・・次弾込めー、砲身冷やせー」
隊長はゆっくりと10秒の時を数えた。
「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ・・射てっー!」
「達磨さんが転んだ」と鬼が叫んで振り返ると、周囲の人間が動きを止めるのは・・何の暗喩なんだろう?
1~10までの10個の数を数えたら・・次に数え始めるまで動きが・・時が止まる
これは何のメタファーなんだろう?
神話が示唆する何かの象徴か?
寓話の動物が諭す何かの教訓か?
十進法のサイクルを強調する空白か?
歌唱にひそむ息継ぎか?
それとも・・「LOVE AFFAiR」における音にならない囁き・・か?
17才の高校生タミルは同じクラスの今日子と中央公園にある東屋のベンチに座っていた。
2人の男女は友人だった。少し事情は複雑だった。
隣町との境に位置するのに「中央公園」という名称が複雑なのではない。
2人は、色の好み・季節の好み・好きな雲の形・音楽的趣味・「芭蕉 奥の細道でベストの句は?」・「パブロ・ピカソのマスターピースは?」・・どれもが相容れなかったが気が合う2人だった。
タミルは友人関係の男女がときに移行する次のステージに興味があった
タミルは今日子への距離と親密度を変更しようとしていた、何も告げずに。
タミルは新しい回線工事の通知なしに今日子の内面にログインしたかった。
しかし所詮は無茶な話だ。通知は不可避だ。
タミルの目は口ほどには語らないし、パントマイムのセンスは皆無だった。
タミルが心配したのは通知から受けた衝撃で今日子の内面の時間が止まることだ。
それがわずか数秒でも・・そのことで今日子の内部に新たなバランスが出現するのが不安だった。
バランスは重要だ。
ロールケーキよりトップに苺が乗ったショートケーキのほうが断然美しいバランスだとタミルは感じていた。スイーツ界のマスターピースだと思っていた。
つまり。バランスは大事だ。とても。
だが結局は・・タミルは思い切って通知した。
「君の顔が好きだ。君の髪が好きだ。君の肩が好きだ。君の指が好きだ。君の声が好きだ・・・・・」
タミルの発した10個の「好きだ」通知の後も、今日子の時間は一瞬も止まらなかった。
止まらずに今日子は笑った。
「ブハハハハハハッ」
「美人が笑うと怖くなるんだって始めて知った」
「ねっ?美人って凄いでしょ?」
何が凄いのか理解できないまま・・ためしに・・
ホンのためしに、タミルは叫んだ。
「達磨さんが転んだ!」
今日子は笑ったまま・・停止した。
マウス・ポインタまでフリーズしたOSのように。
斉藤和義 「君の顔が好きだ」
【蛇足】
マルが言った。
「そうか。達磨は南インド地方のタミール人だったな」
「気がついたか・・」と、ボク。
「それじゃ今日子は?これは何かの暗喩なのか・・?
明日・今日・昨日・・時の暗喩か・・?」
「いや・・それは・・暗喩じゃない」
「オマエ・・まさか?」
「・・・・・」
「オマエさ・・たしか小泉今日子のファンだったな?」
「・・・・・」
Wikiによると
「遊びなどで十まで数える数え方、10文字の文章でちょうど10拍になる・・」と、ありました。
そっか1拍がもし1秒なら・・10秒間の数え方なんだなって思った。
明治に暦が改まりちょうど十年。
暦にこよりを挟むように、歳(とせ)の節目を区切るような年に
九州南部で蜂起した集団・・この国にまだ残っていた武士という名の集団でした。
彼らの装備は旧式だった。
主要装備の大砲は、砲身が発熱するために連射ができなかった。
初弾を放つとすぐに砲兵は、柄杓で水を砲身にかけ冷却する必要があった。
何度も。何度も。
水をかけ続けても冷却に要する一定の時間は次弾を発射することができなかった。
ひい・ふう・みい・よお・いつ・むう・なな・やあ・ここ・とお・・秒
砲兵隊長は叫んだ。
「射てっー・・・・・次弾込めー、砲身冷やせー」
隊長はゆっくりと10秒の時を数えた。
「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ・・射てっー!」
「達磨さんが転んだ」と鬼が叫んで振り返ると、周囲の人間が動きを止めるのは・・何の暗喩なんだろう?
1~10までの10個の数を数えたら・・次に数え始めるまで動きが・・時が止まる
これは何のメタファーなんだろう?
神話が示唆する何かの象徴か?
寓話の動物が諭す何かの教訓か?
十進法のサイクルを強調する空白か?
歌唱にひそむ息継ぎか?
それとも・・「LOVE AFFAiR」における音にならない囁き・・か?
17才の高校生タミルは同じクラスの今日子と中央公園にある東屋のベンチに座っていた。
2人の男女は友人だった。少し事情は複雑だった。
隣町との境に位置するのに「中央公園」という名称が複雑なのではない。
2人は、色の好み・季節の好み・好きな雲の形・音楽的趣味・「芭蕉 奥の細道でベストの句は?」・「パブロ・ピカソのマスターピースは?」・・どれもが相容れなかったが気が合う2人だった。
タミルは友人関係の男女がときに移行する次のステージに興味があった
タミルは今日子への距離と親密度を変更しようとしていた、何も告げずに。
タミルは新しい回線工事の通知なしに今日子の内面にログインしたかった。
しかし所詮は無茶な話だ。通知は不可避だ。
タミルの目は口ほどには語らないし、パントマイムのセンスは皆無だった。
タミルが心配したのは通知から受けた衝撃で今日子の内面の時間が止まることだ。
それがわずか数秒でも・・そのことで今日子の内部に新たなバランスが出現するのが不安だった。
バランスは重要だ。
ロールケーキよりトップに苺が乗ったショートケーキのほうが断然美しいバランスだとタミルは感じていた。スイーツ界のマスターピースだと思っていた。
つまり。バランスは大事だ。とても。
だが結局は・・タミルは思い切って通知した。
「君の顔が好きだ。君の髪が好きだ。君の肩が好きだ。君の指が好きだ。君の声が好きだ・・・・・」
タミルの発した10個の「好きだ」通知の後も、今日子の時間は一瞬も止まらなかった。
止まらずに今日子は笑った。
「ブハハハハハハッ」
「美人が笑うと怖くなるんだって始めて知った」
「ねっ?美人って凄いでしょ?」
何が凄いのか理解できないまま・・ためしに・・
ホンのためしに、タミルは叫んだ。
「達磨さんが転んだ!」
今日子は笑ったまま・・停止した。
マウス・ポインタまでフリーズしたOSのように。
斉藤和義 「君の顔が好きだ」
【蛇足】
マルが言った。
「そうか。達磨は南インド地方のタミール人だったな」
「気がついたか・・」と、ボク。
「それじゃ今日子は?これは何かの暗喩なのか・・?
明日・今日・昨日・・時の暗喩か・・?」
「いや・・それは・・暗喩じゃない」
「オマエ・・まさか?」
「・・・・・」
「オマエさ・・たしか小泉今日子のファンだったな?」
「・・・・・」