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メモ…もしくは備忘録

みなさん。大晦日いかがお過ごしでしょうか。
今年は、みなさんの写真…音楽・映画評論・随筆・情報で楽しませて頂きました。
良いお年をお迎え下さい。


『 誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)』 2013年の断篇集

コレはあくまで個人的なメモです。
「ひねりだした言葉群」の備忘録です。


***

猫が言うにはこうだ。
地球の機嫌が変わるのは「地軸の傾きと自転・好転の塩梅」だという
物理学的問題の要諦を塩梅と言ってのけた猫
この町にはエンジンが存在すると断言した猫
そのエンジンで「地球の塩梅」を微調整するという

この町の猫たちは路地にうずくまり地球の体温を感じている
塀の上に寝そべり日向ぼっこしながら太陽と地球の波動を感知している
欠伸をした後に眠る向きを変えるのは感知する方位を変えるためだ
耳で地球が発する音を捕らえ、髭と体毛で地球の波動を捕らえる
風のそよぎ、雲の流れ、梢の囁き、雨粒の旋律、雪の舞
地球が発するサインを猫たちは見逃さない
( C_BoY「The Engine of This Town」)

***

視野の中央に楽団がせりあがってきた
髷を結ったかつらを被ってるが明らかに西洋人だ
小袖の上から裃を羽織っているが、手にしているのは西洋の楽器だ
ピアニストに見覚えがあ
おおっ
カウント・ベイシー・オーケストラだ
ハイハットの乾いたリズムに乗ってトランペットがメロディを奏で
サックスとトロンボーンがハーモニーを重ねる
曲は勿論「さくらさくら」
中央のスタンド・マイクで歌い始めたのは着物姿のサラ・ヴォーン
拙い日本語だけど彼女の熱唱が胸をうつ
中略

視野の中央に光が灯る 小さな光だ
直線が曲線へ変化する
色が斜面を駆け上がり 音が斜面を滑り落ちる
( C_BoY「A Tablet That Contains Beer」)

***

「写真家の眼前を室生寺の仏像は走り、板に油彩で描かれたジョコンダ家の女は微笑み、
弱視の版画家が刷った極彩色の裸婦は宙を舞う」
( C_BoY「Parts of the World Heritage」)

***

煙草を吸い煙を吐きながら、右手を挙げて横断歩道を歩く、全身黒ずくめの中年男

中略

ランウェイを歩くモデルの"キレ"もなく、ダンサーのステップもなく、舞踏家のハプニングもなく
高揚も膨張も歓喜もなく、混沌も破綻もなく彼は横断歩道を歩いていった
んっ・・?もしかして"能楽"の方か?
右手を天へ向けて挙げ、歩を前へ進めるのは能楽の作法なのか・・?
06:30の盛岡で、能楽師のオトコが煙草を吸い煙を吐きながら右手を挙げて横断歩道を渡っている・・可能性は?
極めて低いだろうね
何故なら、彼が右手を挙げて歩く姿には「幽玄」が漂っていなかったからだ、微塵も
( C_BoY「A Crosswalk」)

***

待ち合わせた場所に現れたボクの服装をみたオンナが
トップスからボトムまでをみて
選択・レイヤー・配置・組み合わせ、それらの化学反応をみて
ウゲッって顔になって言った

「ねっ、どこでなくしたの?どこに忘れてきたの?」
「・・・・・」
「探しなさいよ、今日はもう帰っていいからさ、探しなさいよ、徹底的にっ」
「・・・・・」
「ほら、見つけにいかなかきゃ、大変なことになってるじゃない、いい?
 見つけられなかったら、もう会えないんだからね」
「何をみつけるんだ?」
「センス」
「は?」
「だから、セ・ン・ス!」
「・・・」
「アバンギャルドを気取りたいの?」
「・・・」
「その非現実な感性と非日常なセンスで、"ボクらの時代に旋風を巻き起こす"とか?
 "そしてボクは時代の寵児になった"とか?ねっ、なれないんだからね、絶対」
「・・・」
「フツーがどーしてできないの君は、何度同じコト言わせるの?」
( C_BoY「Colors Between Genders」)

***

『虎の黄色が濃いのは着色料が含まれているからです。
虎を噛まないでください。噛むと口が痒くなりますよ』

追加のカプチーノを持って来たバリスタな女性はボクの耳元で言った
「動物園では、虎を噛むことはできない、おそらく。
森の虎だって噛むことは簡単じゃない」
( C_BoY「Peter The Tiger」)

***

" 愛は高カロリー "
「いろいろたくさんはいってるから?」
「いえいえ 全部はいってるから」
( C_BoY「I’m Lovin’ It」)

***

無数の小さなとても小さなヒトたちがボクの内部に入り込み作業を始めた
マーチング・バンドのようなテキパキとした無駄な動きのない作業
バレエ作品のグラン・パ・ド・ドゥのように優美で繊細で破綻のない作業
細胞群をビリヤード台に載せキューで効率よく突くと細胞同士が衝突し発熱する
細胞群をピンボールマシンに入れフリッパーでヒットすると細胞は幾何学運動を展開し振動する
大きな業務用たこ焼き器に並べた細胞群を陽射しで熱せられた順に手際よくひっくり返す
細胞群は振動し発熱する
( C_BoY「Sunshine Evoke Vibration and Fever」)

***

『オレだけを撮ればいいんだ。それが作品になるんだ』

オレが歩く、それが起だ
オレが走る、それが承だ
オレが欠伸する、それが転だ
オレが肉球を舐める、それが結だ

歩くオレを追え、それが動機だ
立ち止まったオレの全身を左から右へパンでなめろ、それがハプニングだ
フレームの中央にオレを固定しろ、それが主題(テーマ)だ

オレがスキップする  ファンタジーだ 
オレがジャンプする  アドヴェンチャーだ
オレがガリガリ爪を研ぐ  ホラーだ
オレが振り返る  ミステリーだ
オレが虚空をみつめる  サスペンスだ
オレが微笑む  ラブ・ストーリーだ

***

6月の土曜の午後だった
キリンがやってきた、たくさんの幸福が詰まった鞄を持って

中略

マルは左前足の肉球を舐めながら言った
「大事にしまっておけばいい。そうすればそれは、オマエの宝物になる」
「退屈な幸福が?」
マルは大きな欠伸をして言った
"退屈な幸福” それ以上の宝物があるのか?
( C_BoY「KIRIN」)

***

7月の日曜日の朝だった
リビングのソファにシマウマが座っていた
床に置いた鞄には、"たくさんのアフリカ"が詰まっていた

中略

それまで立っていたマルが前足を投げ出し、床に顎をつけ寝そべった
嬉しそうに目を細めて鮮やかな色彩を放つ野菜を観ていた
シマウマが言った言葉がよみがえった
「この鞄の中に詰まっている"アフリカ色"が
 君たちの"始まり"が・・
 アフリカで生まれた君たちの"母親"が・・観た色なんだ」
「ミトコンドリア・イブが・・観た"色"」
マルは歓喜の声をもらした
( C_BoY「SHIMAUMA」)

***

昔々のこと・・太古と原始の区別がつかない時代のことだ
闇が降り、辺りは静けさに包まれていた
僕等の"始まり"は洞窟の中にいた

中略

「オレは考えることにしたよ・・ほら同じ重さの木と石なのに・・
 水に入れると、木は浮かんで石は沈むだろ・・あれってさ・・・・・・」
「何を言ってるか全然分からないけど・・ブラボー !」
(C_BoY「Stad up」)

***

6月のある日、ボクの町から「3」が消えた
中略
「じゃあ、どうして3は消えたんだ?」
「3は頑張ってるんだ・・・考えてみろ円周率は約3だ、殆ど3なんだ」
「・・・」
「3は頑張ってるのに・・誰も誉めてくれない・・」
「えっ、どういうこと?」
「3は・・拗ねた」
「そんな・・・」
(C_BoY「3 was gone」)

***

友人Mさんが言うには・・日本のある哲学者が言ったらしい
「ヒトは時間をどうすることもできない
 だからワタシは眠る
 覚醒時間を恣意的に短くして
 短い覚醒した時間を濃厚に生きる」

中略

ボクはある疑問を口にした
「スペインとかでさシエスタってあるじゃない
 あれってどうしてなんだろ?
 民族全てが眠くなるって変だよね?
 昼は暑くて活動するのが大変だからかな?」
「夜に活動するため」
「・・・・・・」
もし、それが事実なら・・
真実はいつだってシンプルなものだ
(C_BoY「Time」)

***

「いいかオマエは・・空を見ていろ」
そう言うと男は、鞄から陶器の招き猫を取り出した
招き猫の頭を男が撫でた
「ほら・・・」
空の雲が流れていった
「見えたか?」
「ん・・」
「じゃ、もう1度。今度ははっきりと分かるように、さっ、見ていろ」
男が招き猫の頭を撫でると・・
雲が南東から北西へ移動し地平線に達した・・
「今度はこうだ・・これなら分かるだろ?」
そう言うと、男の指は招き猫の頭を移動した
「あっ・・!」
雲が西から東へ横移動した・・違う、空全体が西から東へ移動した
スクリーン上の映像が撮影カメラの横移動で動いたように
「分かったろ、空を動かしたんだ。オレは・・空使いなんだ」

中略

「そこでだ。混沌と複雑系がないまぜになった気象の機嫌をなだめるのが、
 オレたち一族の仕事だ」
「機嫌をなだめる?」
「あまりに混沌で複雑だと気象の予測が困難になるだろ?
 気象が機嫌をそこねて天気が荒れ狂ったらどうする?」
「それで・・気象の機嫌をなだめる」

(C_BoY「Sky Handler 」)

***

前方に一方通行の道を逆走して向かってくる1台のクルマが見えた
「えっ、何だよアイツ、ここはイッツーだろ、知らねーのかよ・・」
クラクションを押そうとした手を止めた
ベンツのEクラスだった・・色はなんと・・ピンク!
メルセデスのカラー・ラインナップにピンクがあるのか・・
再塗装なのか・・
運転しているのは太った中年男、ツルツルに剃った頭に黒サングラス
助手席にはもっと年かさの痩せた男、こっちもツルツル頭に黒サングラス
こんなルックスの方々がピンクのベンツEクラスに乗ってやってきた
キツイ・・状況だ
見た印象からは・・第一次、二次、三次産業のどれにも属していなさそうな方々
負のサービス業の方々だろうか?
基本給なし、有給休暇なし、労働組合なしの業界の方々だろうか?
そんな容姿の方が・・ピンクのベンツEクラスに乗って・・一方通行を逆走してきた
キツイ・・
(C_BoY「A Crisis 」)

***


男はメッセンジャーバッグから赤い物体を取り出しテーブルの上に置いた
漆塗りの小さな・・掌に乗るくらい小さな・・達磨だった
「え・・?」
「コレを転がす・・そうして周囲の時間を止めるんだ」
「そんなあ・・それって・・達磨さんが転んだ・・?」
「さあな・・ここから先は秘密だ」
(C_BoY「Time Controller 」)

***

ボクが。思考を。展開す。る。。リズム。が。句点の。挿入で。で。で。。。
『なんだコレ・・?』
不必。。要な。句点。。が。画。面。に。。
出て。。。く。る。。の。は。。。どう。し。。て。なん。だ。だ。だ。。。?
ボクは思った
文字をタイプせずに心の中で・・こう思った
『この文章を書いてるテキストエディタ内のプログラムのどこかに・・
「句点の蛇口」があって・・その蛇口を句点のヤツがめいっぱい開けて
 それで・・大量の句点が蛇口から流れてきて溢れたんだ・・』
。。。
。。。。。。
。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「メーデー・メーデー・・大変だ・・助けて。。。。。。く。。れ。。。」
(C_BoY「a period 」)


***

この世はごちゃごちゃいろいろ、とにかくたくさんたくさんたくさん・・
町にでてみろ・・誰一人同じ顔の人間なんかいない
薩摩に行ってみろ・・長州とは異なる思いをもってる人間だらけだ
伊達や南部に行ってみろ・・江戸とは違う暮らしがある
 
知りたいなら会いに行けばいい
分からないなら話してみればいい

中略

おりょう・・心配するな、俺は強いから・・誰にもまけない
俺は・・
目を閉じていない
耳をふさいでいない
自分の足で立っている
掌にはたくさんの人に触れた記憶が残っている
両腕には力がみなぎっている
そして・・この世界を・・バラエティーを愛してるんだ
いいか、おりょう・・これがどういうことか分かるか?
俺が・・手ごわいヤツってことだ!

中略

「なあ、みんな。この一件、オイラの顔に免じて勘弁してやってくれねえか。
もっと下げろというなら、この老いぼれ勝麟太郎の頭ぁなんべんでも下げる。
・・・・・
だけどよぉ・・ラブってのは・・なんなんだい?
文政生まれのオイラにゃ今ひとつピンとこない。
竜の字はほんとうにラブが分かってたのかどうか・・
野郎はよく・・先生、こいつぁ方便だって・・けろっとした顔で笑ってた奴だったから・・」
(C_BoY「All You Need Is Love 」)

***

ボクは毎回パーマ液をかける前に巻かれたタオルを見ると・・
額の前に突き出されたタオルの両端を見ると・・

中略

甲高いの指笛の響きと同時に大きな声が聴こえた
「イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!」
そんなー・・無理だって・・オレは踊れないって・・
「イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!」
過ぎゆく夏の背に声をかけるように・・
イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!
イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!
イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!
(C_BoY「A Towel 」)

***

「メリーはどこに行ったんだ?」
客もまばらな店でグラスを拭いていたYにオレは聞いた
Y's Bar
メリーが毎晩カウンターでダイキリを飲んでいた店だ

中略

" 探偵は職業じゃない・・生き方なんだ "
そう、これがオレの生き方なんだ
オレは決めた・・彼女を探す
オレは決めた・・彼女をみつける
音楽と物語を探し・・世界中をグルグル回っているメリーを!
彼女が笑いながら囁く声が聞こえたような気がした・・
「 わたしは・・Merry-Go-Round 」
(C_BoY「Where is Merry 」)

***

この界隈じゃあ、オレは「time thief(時間泥棒)」って呼ばれてるんだ
まあ、みんなはオレのこと、略して「T.T.」って呼ぶんだけどな

中略

乾いた空気に金属の音が響いた
どしゃ降りの雨に見舞われたアスファルトが弾き出す音のようなビート・・
たくさんの子供たちが階段を駈け降りてくる足音のようなビート・・

中略

ふいに笑いがこみあげた
ハハッ
アイツは時間泥棒なんかじゃなかった
アイツはビート・マニアなんだ
アイツはビートに・・時間と心を奪われたオトコなんだ
(C_BoY「Time Thief 」)

***

「おい。オレはな。
 服着るからさ、その間に、ほら、酒。酒ぇ準備しろ。
 それとこの部屋は禁煙か?だろ?
 オレは気にしないから・・吸う。灰皿がわりの空き缶だせ」

横柄な透明人間だった。
口調も乱暴だった。
声は低くどすが効いていた。
しかし。
口調は乱暴だが・・どうも憎めない口調だった。
話し始めに必ず「おい」、「あのな」、「ええと」を入れる独特の間合い。
そして低音だが軽妙な抑揚と音階が変化する個性的な声。
憎めないどころか・・油断すると引き込まれそうな声と口調だった。

中略

「おい。グラスとウイスキー・・それと、氷。
 それとな。オイル・サーディンの缶詰出せ。
 見たんだよ、さっき。冷蔵庫の中を。お前らが寝てるとき。
 缶詰の蓋を開けたらな、缶のまま火にかけろ。弱火だぞ!
 油がグツグツいいだしたらすぐ火を止めろ。
 でな。火を止めると同時に醤油をほんの数滴、黒胡椒を少々。
 最後に浅葱。細かく刻んでさ、上にな、かけろ」

横柄が加速していった。
(C_BoY「Invisible Person 」)

***

この酒場Gに40年以上通いつめた書籍装丁家のYさん。
人生の上手のヒト。
ん。上手・・?
器用?違うな。
手際が良い?違うな。
あっぱれ?そうそう、それだ!
いつも楽しそうだし、実際・・「楽しいな」が口癖のYさんだ。
「いいか。酒はどんな酒でも全部美味い!
 これから経験することは全部楽しい!
 世界はステキで満ちている!」
天使が還暦を迎えたような方。
釈迦が修行もしないで解脱したような方。
こう聞いてきそうだ。「解脱って、それ楽しいのか?」
彼は世界に満ちている歓喜と哄笑を楽しんでいた。
3流の大人で1流のオトコ。

中略

スパイが酒で記憶を失ってどうする!
彼は猜疑心より良心が溢れる3流のスパイだ。
彼は諍いより信頼を大切にする3流のスパイだ。
彼は裏切り方を知らない3流のスパイだ。
一方正体を隠すカバーとして従事しているグラフィック・デザイナー業はセンスも技倆も1流の男だ。
彼のコードネームは"善きサマリア人"
「酒場G」に長閑と白熱、そして安堵を招じ入れた男だ。
(C_BoY「カウンター・・にて」)

***

「初めまして。入っていいかな?」
ボクの返事を待たずにマルは入ってきた。
4本の足で歩いて。
トコトコと短い歩幅で…とても猫らしい歩き方で。

中略

「それから。
オレはオマエの何処かに忍び込む。
オマエの電源は?オマエの核心は?
オレは必ず見つけ出してソレをくすぐる。
丹念に…肉球でソレをくすぐる。
丁寧に…爪でカリカリとソレを刺激する。
オマエは"ドーパミンに溢れた夢"をみることになる。
オマエの瞳孔は拡がる。闇夜の猫目のように。
いや違う、そうじゃない。
オレはドラッグのような化学物質じゃない。
だから…オレは猫なんだ。
オレは…オマエの何処かに忍び込む、猫なんだ」
「・・・・・」
「今はまだ理解しようとしなくていい。
オレは不思議な猫じゃない。
オマエにとってだけ特別な猫なんだ。
今日からオレは…オマエの相棒だ。
数ヶ月もすればオマエは理解することになる。
そう。良い塩梅の…過不足のない…相棒だと。
よく分からないか?」
「こういうこと?
数ヶ月後にはボクはこう確信する。
ボクとマルは…仲良しだ!」
「うん。オレはオマエのそのシンプルさが気に入った!」
(C_BoY「A House Cat Named Maru」)

***

「四角い部屋を丸く褒める」

中略

もし…市井の人として民衆に埋もれている詩人がいるとしたら。
きっと彼は憂鬱を晴らすために丸善の書棚に檸檬を置くのではなく「褒め」を置くのだろう。
もし…酒場の人として酔客に紛れている詩人がいるとしたら。
きっと彼は呟くのだろう。
「汚れちまった悲しみに 今日も”褒め”の降りかかる」
もし…吹雪く津軽の街を寒さを忘れて歩く火の玉のような版画家がいるとしたら。
きっと彼は叫ぶのだろう。
「美しい色彩をみると全身がカアーッと熱くなるんですよ。全身全霊で色彩を褒めますよ。
 わだばゴッホになるはんで!」

中略

万葉集がどうしてわれわれの心に沁みるのか…。
『ひんがしの野にかぎろひの立つ見えて かへり見すれば月かたぶきぬ』
東に曙光が立ち、西に月影が傾く…。
うん。イイね。
冬の明けがたの風景を褒めたんですね、コレ。
「オレンジ色の朝焼け…明け方の太陽。
 やっぱオマエはカッコイイなあ、セクシーだなあ!
 月、ご苦労!帰ってゆっくり寝てくれ。休んだらさ…また夕方ヨロシクな。
 オマエの冷えた美しさ…オレは好きだぜ!」
(C_BoY「褒め概論」)

***

ほら。周波数はドンドン変更するよ。ついてこれるかな? ギャハハ。
DJはオレ。オレはオレだ…名前はまだない。
隣にいるサバトラの猫はマル…名前はあるんだ…マルだ、オレの相棒だ。
マルがレコードとCDのプレイ、ミックス、その他もろもろ機器担当だ。
マルが音楽をかける、オレが話す…それだけ。
ざる蕎麦のようにシンプルで…ジャムパンのようにロックなプログラムだ。
よく分かんないよね?うん。テキトーに言っただけだもん。ギャハハ。

中略

簡単に言うと、オトコは…拗ねる。
ナサケネーナー。
でもさ、いい年した大人のオトコが拗ねるってさ…ロックだよなあ。

中略

ボクは隣のマルとハイタッチしながら下の通りの景色を見下ろした。
ボクとマルは動けなくなった。

ウォォォー!
(C_BoY「ラジオから…」)



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『雪の盛岡からクリスマスソング』番外篇

【 Merry Christmas Mr.Laurence 】
’83年公開の映画「戦場のメリークリスマス」のタイトル曲だ。

でも。
この曲について語るため(?)…まずは、ブライアン・イーノについて語ろう。

B・イーノのメジャーなキャリアは「ロキシー・ミュージック」のキーボード奏者、
そしてロキシー脱退後は、レコーディング・プロデューサーとして
デヴィット・ボウイ、トーキング・ヘッズ、U2、コールド・プレイ
などのアルバムを制作したことだ。
さらには、ロキシー脱退後のソロ・アルバムで展開した
前衛的現代音楽やambient music(環境音楽)の先駆者として知られる。

ここだ!
U2好きのボクが心配したのは。

B・イーノがU2のレコーディング・プロデューサーになったらしい。
その情報を耳にしたとき感じたのは違和感じゃない
大げさでじゃなくて…恐怖感だ。
あの前衛音楽・環境音楽のB・イーノがU2の音楽をいじりたおして
シンプルなロックを難解にしちゃったらどうしよう?
B・イーノが仲良く音楽活動・スタジオワークを行ってたのが…
ロバート・フリップとフィル・マンザネラというロック界きっての名うての
変態ギタリスト兼音楽家の2人だ。
そんなB・イーノがプロデュースするとは…
ロック好きの良い子だけじゃない、ワルだってU2の行く末を案じる展開だ。

それがどうだ!
’84年「焰(The Unfogettable Fire)」
’87年「ヨシュア・トゥリー(The Joshua Tree)」
この2連続の素晴らしさは。

そうだった!
イーノの環境音楽の手法は「ミニマル・ミュージック」だった。
同じ小節を反復する手法がミニマル・ミュージックとされる。
シンプルで短い小節が反復するオルゴールが心地良いのはミニマルだからだ。
しかし勿論U2の曲が同じパターンの繰り返しになったのではない。
絵画や建築に「ミニマリズム」という潮流がある。
U2の音楽はミニマル・デザインの家具や服のようにとてもシンプルになった。
シンプルなカットでつくったラインの服のような心地よさに溢れた音楽になった。
そしてすぐれたミニマル・デザインがそうであるようにU2のシンプルな音は…
ダイナマイトを持っていた。

そうなんだ。
B・イーノはU2の音に魔法をかけたんだ。


‘08年コールド・プレイはB・イーノがプロデュースしたアルバム「Viva la Vida」を発表した。
それまでの音楽の方向性を継続したため袋小路にはまり込んだコールド・プレイ。
連中は…古い轍にスタックしたクルマを押し出すためにB・イーノを招いた。

タイトル曲「Viva la Vida」を初めて聴いたときにうけた感覚…
洗練されたミニマル・デザインの建築や家具を体験したような感覚は今でも忘れない。
ボーカルの音量は抑えられ
ストリングス(弦楽器)の音量・音圧を際だたせていた。
ドラムは排されティンパニーが単調なビートを音圧を抑え繰り返すだけだ。
弦はとてもシャープで…エッジをたてた…”アタックの強い”演奏だった。
そう。弦はパーカッシブに…そして、音圧をあげ演奏された。
弦はシンプルな小節を繰り返しうねっていた。
風が吹いた。
弦はメロディを奏でずにビートを刻んだ。
質量もつモノも空気も区別なく共振した。
ああ…弦が打楽器になっていた。

どうしてこういうことしちゃうんだろ。
どうしてこんなステキが思いつくんだろ…ねえ、B・イーノ先生。
魔法使いじゃないかもしれないけど…近い存在だな B・イーノ先生。
ホグワーツ魔法魔術学校で教鞭をとってたのかしら。





ふう。前置きがながくなった。
いや今回はここまでがメインなんだ。
実は、この稿はB・イーノついて書きたかったんだ。
だけど適当なクリスマスソングが思いつかなかった。

そこで。ミニマル・ミュージック。
日本のミニマル・ミュージックの作曲家といったら、久石譲や坂本龍一が有名だ。
そして、久石譲はブライアン・イーノ体験の衝撃を語っていた。

ミニマル・ミュージックのクリスマス・ソングといったら真っ先に思いつくのは
坂本龍一の「戦場のメリークリスマス( Merry Christmas Mr.Laurence)」だ。

導入部は流れるシンセの中で…ピアノが短い鐘のような音を繰り返す。
たんたんと…淡々と繰り返し、打楽器のようにピアノを叩く。
次いで展開される主旋律を奏でる音はワイングラスのサンプリングだ。
そのため…主旋律は打楽器で奏でられるように聴こえる。
…音階を有する打楽器で短い和音が繰り返される
…そう。インドネシアのガムランを感じるんだよねえボクは。
いつも。

今回この稿を書くにあたり、ネットで調べてみた。
すると。
坂本龍一がNHKのクラシック音楽の番組で語ったとされる記述があった。
『普通の西洋の和音から外れたところにある東洋の和音を使ったのが
「戦場のメリークリスマス」だ。
インドネシアのガムランの和音をつかった』
しかし、これはややこしいと思った。
映画「戦場のメリークリスマス( Merry Christmas Mr.Laurence)」と同名のサウンド・トラック盤がある
つまり、坂本龍一が言ったのはタイトル曲の「戦場のメリークリスマス」のことか、アルバム全体のことなのかは判然としないんだなあ。
まあ、いいか。






’83年「戦場のメリークリスマス」公開。
’83年「クリスマス・イブ」を含むアルバム「MERODIES」(山下達郎)発売。
’84年「プライド(Pride(In The Name Of Love))」(U2)発売。
ボクは…この音楽たちにずいぶん助けられた。


ところで。
ブライアン・イーノに不満なことを書いて「メリクリ・ソング番外篇」を終えるとしよう。
Microsoft社のOS「Windows 95」の起動音を作曲したのは…B・イーノなんだ!
Mac好きのボクとすると…。
「Windows VISTA」 の起動音を作曲したのはB・イーノの盟友ロバート・フリップなんだ。
何をやってるんだ…キミたち2人は!


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メリクリ・トナカイ番外編…? 魔法使いのトナカイ…?




ラジオから…

えーと。
このラジオを聞いてくれてる人はどれくらいいるんだろ?
始まってから3時間…5曲かけた…うーん。話してばっかだな。
こちらC’s Radio、こちらC’s Radioどうぞ…。
って…スパイの無線通話じゃないんだから。コレはラジオ放送だから。
なにこの放送?って思ってる人いるかな…いるよなあ。
聞いてくれているキミ。
この放送は…キミのチューニング・ミスじゃない、隣の県のラジオが聞こえてるとかじゃない。
これはね今日クリスマス・イブだけのラジオ放送局なんだ。
クリスマスソングだけを流すラジオ番組なんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
もちろんゲリラ放送だよ。許可なんて取ってないよ…ギャハハ。
「パイレーツ・ロック」っていう映画しってる?
これも無許可の海賊ラジオ…盛岡から叫ぶ海賊ラジオなんだ。
このラジオ放送のことは…TwitterやFacebookで拡散してもらっていいけどさ。
後で国家?行政?…ほらどっかとさ、揉めるのもメンドーじゃん。
だからね周波数はドンドン変更するからね、みんなもこの局を探してついてきて!
・・・・・・・・・・・・・・・・
ほら。周波数はドンドン変更するよ。ついてこれるかな? ギャハハ。
DJはオレ。オレはオレだ…名前はまだない。
隣にいるサバトラの猫はマル…名前はあるんだ…マルだ、オレの相棒だ。
マルがレコードとCDのプレイ、ミックス、その他もろもろ機器担当だ。
マルが音楽をかける、オレが話す…それだけ。
ざる蕎麦のようにシンプルで…ジャムパンのようにロックなプログラムだ。
よく分かんないよね?うん。テキトーに言っただけだもん。ギャハハ。

それじゃ次の曲。
雪が降り積もった盛岡から送る…クリスマスソングだ。
U2の1987年の曲…「It’s Christmas(Baby please come home)」





***


次にセレクトしたのはこの曲。

【レイクサイドストーリー】

岩手県奥州市出身の「怪人」…グル大瀧詠一の作品。

1984年発売のアルバム「EATCH TIME」のエンディングの曲。

スタジオでの音作りにこだわる…異様にこだわる大瀧詠一にはエピソードが多いんだよね。
ほぼ完成しかかった音が不満で全部破棄してレコーディングを再開したとかさ。

1981年「A LONG VACATION」発売後に行われた…コンサートがある。
音にこだわりまくった奇妙なコンサートを彼はやった。
ヘッドフォン・コンサート。
観客全員がヘッドフォンをして鑑賞するコンサートだった。演奏の音はスピーカーやPAを通さず、館内にFM電波で飛ばした。客席では、備え付けのFMウォークマンに観客が持ち込んだヘッドフォンをつないで演奏を聴いた。ステージ上のミュージシャンもヘッドフォンをして演奏した。どうこれ?

ね、変なことする人でしょ?
こんなに音にこだわる変人ってさあ…オレは大好き。

「レイクサイドストーリー」は冬の歌だけどクリスマスソングじゃない。
それじゃどうして、この曲をセレクトしたのか…?

スレイベルだよ、スレイベル。
英語でSleigh Bells…つまり「そりの鈴」。
サンタがそりにつけてる、あのシャンシャンシャンの鈴の音が出る打楽器。
木の棒にさ、葡萄の房のように鈴がついたやつなんだ。
クリスマスイブだもん…スレイベルの叩き方を練習しようよ。

大滝詠一がこだわりぬいてつくった音の楽曲のなかに流れる…
「シャンシャンシャン」の音に耳をすまして聴いてみよう。





***


つむじ風追い越して雪の街から来たサンタクロースが盛岡から送る
クリスマスソング…次はこれ。

【約束の十二月】

「せっちゃん」の2004年発表の曲…「約束の十二月」。

斉藤和義がどうしてファンから、せっちゃんと呼ばれているか?
それは彼が大学時代から「セ☓☓スしたい」と言いふらしていたからだって。ガハハ。
実際ライブのMCは下ネタまみれなんだよな〜。
こんなエピソードはどう?
2010年資生堂のCMで「ずっと好きだった」が使われた。
記者会見の席上で…CMに出演した80年代アイドル達に対するカズヨシくんのコメント。
「いろいろとお世話になっていました」ガハハハ。

このエピソードは有名だね。
作家の伊坂幸太郎が通勤中に「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いて、会社を辞めて執筆に専念する決意をした…。
実はボクはこのエピソードを知って、サイトー・カズヨシくんの楽曲を横断的・網羅的に聴いてみた。
缶コーヒーを飲みながら聴いた。
ビールを飲みながら聴いた。
小説を読みながら聴いた。
写真集を観ながら聴いた。
☓☓☓しながら聴いた。

思ったこと。「ロックだよなあ」
感じたこと。「男の子だよなあ」

攻撃的で挑発的な歌詞も多いんだけど、そこに流れてるのは「男の子」の強がり・やせ我慢・負け惜しみなんだ。ああ…カズヨシくんはロックなんだよなあ。

そして今回の「 約束の十二月」は…せつないラブソング。
彼女の中に昔の恋人の影をみて…オトコは悩む。
簡単に言うと、オトコは…拗ねる。
ナサケネーナー。
でもさ、いい年した大人のオトコが拗ねるってさ…ロックだよなあ。



(Youtubeはショート・バージョンです)


***

TwitterとFacebookで検索したらさ、このラジオのことがケッコー話題になってるね。
盛り上がってくれてアリガトね。
サンキュー…モリオカ!
でもね。
もう残り2曲になっちゃった。

ラス前は…山下達郎センセーのこの曲。
あー。間奏のさ。アカペラのね…。
「ダバダダダーッダバダーッ」のトコで必ずキュンとして泣きそうになっちゃうんだよね。






それじゃね次が最後の曲。

もちろん…最後はこの曲だよっ!
みんなー…。ハッピー・クリスマス!





さあみんな…一緒に歌おう!
『A very Merry Xmas 
 And aHappy New Year
 Let’s hope it’s a good one without any fear』

ねえねえ…みんな歌ってる?
ねえねえ…みんなハッピー?ハッピーじゃない人もとりあえずハッピーでいこう!
ねっ。ハッピーでいこう!
さあ一緒に…歌おー!
『A very Merry Xmas 
 And aHappy New Year
 Let’s hope it’s a good one without any fear』
ねえねえ…それじゃさ、このラジオを聞いてたらさ…。
オレが…メリー・クリスマスって言ったらさ…隣の人とハイタッチしよう。
隣がさ、知らない人でもいいからさ…ハイタッチしよう。
いい。最後だから言うけど。
今ね。盛岡市内のホテルの部屋に機材を持ち込んでこの放送をやってるんだ。
今いる部屋からはね、市内のある通りが見下ろせるんだ!
いい?聞いてる?
スクランブル交差点が見えるよ。たくさんのヒトやクルマが見えるよ。
ねえねえ… オレが、メリー・クリスマスって言ったらさ…歩いてる人はハイタッチしよう…。
さっき言ったよね。
それでね…クルマ運転してるヒトはライトを2回点滅しよう。
いい…いくよー!
『A very Merry Xmas…せーの…メリー・クリスマス!
 And aHappy New Year
 Let’s hope it’s a good one without any fear』


ボクは隣のマルとハイタッチしながら下の通りの景色を見下ろした。
ボクとマルは動けなくなった。





ウォォォー!



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(a picture downloaded from web)



【 褒め概論 】

冬の陽がもう傾き始めた15時の文学部18講義室
H教授の特別講義『褒め概論』が始まった。

みなさん。SNSをやってますか?
ボクもFBを時々覗いたり投稿したりしてます。
自分のFB投稿に「いいね!」が少ないとイラッとしますね。
いやいや。ボクじゃないですよ…そういう人がいるらしいということであって…。

でもね。その…「いいね!」が少ないと不満に思う人は心のさもしい人ではありません。
いいですか。
人間には「褒め」が必要なのです。
人に褒められると嬉しいですね勿論。嬉しくて笑顔になりますね。
人を褒めるのも気持ち良いですね。人を褒めるときも笑顔になるものです。

褒められることが動機や行動原理になったり、原動力になったりもするのです。
そして、褒めることはリスペクトや寛容が含まれますから褒めると嬉しくなります。
だから人間には褒めが必要なのです。


ほぼ日刊イトイ新聞”の「ほめ道を往く」の巻頭言にあります。
「重箱の隅をほめたいものだ」と。
うーん。至言ですね。ここまで褒められる人はなかなかいない。
私も続きます。
「四角い部屋を丸く褒める」
「人の揚げ足を褒める」
「曲がったヘソを褒める」

コホン。調子に乗りました。ヘソ曲がりなどは褒めなくていいです。


もし…市井の人として民衆に埋もれている詩人がいるとしたら。
きっと彼は憂鬱を晴らすために丸善の書棚に檸檬を置くのではなく「褒め」を置くのだろう。
もし…酒場の人として酔客に紛れている詩人がいるとしたら。
きっと彼は呟くのだろう。
「汚れちまった悲しみに 今日も”褒め”の降りかかる」
もし…吹雪く津軽の街を寒さを忘れて歩く火の玉のような版画家がいるとしたら。
きっと彼は叫ぶのだろう。
「美しい色彩をみると全身がカアーッと熱くなるんですよ。全身全霊で色彩を褒めますよ。
 わだばゴッホになるはんで!」

コホン。調子に乗りました。
パロディをつかって褒めを解説しようとしただけで悪意はありません。


もう1度繰り返します。 人間には「褒め・褒められ」が必要なのです。
褒めて褒められて笑顔になる幸せが…大切なんです。
人は褒めで生きているといっても過言じゃないんだなぁ。

『生物が環境の変化に対応して、血液の性状や体温を調節し生存を維持する現象のこと 
 をこう呼びます。
 褒めオスタシス』

コホン。たびたび調子に乗ります…ふざけるのが好きなんです。
アワワ。もうふざけません…と、思います。


キミが…相手がつくってくれた料理を食べて言う。
「ありがとう」コレは感謝だね。
「美味しいねえ」「やるじゃん」コレが褒めだね。
感謝は礼節でしょ。人間関係に必要な心の有り様だよね。
じゃあ、褒めは何?心の表現だね。自分の心を表現し相手に示すのが褒め。
褒めは…リスペクトと寛容が不可分の感情ですね。
だから、褒めるのは気持ちいいんだね。

「Thanks」は、言うのも言われるのも気持ちがイイです。
「Good job」は、もっと気持ちがイイですね。

そして褒められると…ちょっと跳躍力が伸びる感じがする。
ほら。手が届く感じがする…あそこまで。
褒めは人間のエンジンをパワーアップするのかもしれない。


万葉集がどうしてわれわれの心に沁みるのか…。

『ひんがしの野にかぎろひの立つ見えて かへり見すれば月かたぶきぬ』
東に曙光が立ち、西に月影が傾く…。
うん。イイね。
冬の明けがたの風景を褒めたんですね、コレ。
「オレンジ色の朝焼け…明け方の太陽。
 やっぱオマエはカッコイイなあ、セクシーだなあ!
 月、ご苦労!帰ってゆっくり寝てくれ。休んだらさ…また夕方ヨロシクな。
 オマエの冷えた美しさ…オレは好きだぜ!」

太陽を褒める。
月を褒める。
風を褒める。
水を褒める。


ずっとスライドも出さずに話してきたけど…。
えーと。最後にスライドを1枚出します。

We will sing the song on the earth, “What a wonderful world”.
(この地球に集いしボクらは声を揃えて歌うんだ。“この素晴らしき世界”を)

『陽に緑を輝かせる木々や鮮やかな赤で彩られたバラをボクはみる
 そして木々やバラはボクとキミのために花をさかせるんだ
 なんて素晴らしい世界なんだ』(訳:H教授)


Louis Armstorng 「What A Wonderful World」




講義室を出ていこうとする学生達に、H教授が声をかけた。

「ああ。えーとね。今回の聴講アンケートよろしくね。
 まっ。あれですよ。ほら。
 サクッと。ねっ。褒めましょ。気持ち良く。ねっ。ほら…」


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(著者近影)



備忘録;年賀状について

年賀状のことを考える季節が来た。

2013年用の画像はGetty Imagesから購入したものだった。
人参、いんげん、トマトが「太陽のように」配置されていた。
「太陽」→「初日の出」…いいのか?ままよ。
2012年12月。「野菜太陽」年賀状を投函した。


2014年用は…どうする?
Getty Imagesで「食べ物」写真を見ていて…
年賀状の”おめでたい”イメージに合うなとボクが思ったのは
「冷やし中華」の写真だった。


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ところで。
正月に「冷やし中華」はどうなんだ?
真冬に「冷やし」の組み合わせは奇妙か?
いやいや。
冬だって暖かい部屋でアイスクリームを食べるし
冷たいビールは毎日だって飲む。
真冬の「冷やし」は…誰恥じることもない。
但しだ。
正月に「冷やし中華」を食べるヒトはいるんだろうか?
「おせちに飽きたら…冷やし中華だね!」ってある?
ないなあ…。

それでも。
冷やし中華の画像を見れば見るほど…
おお。「おめでたさ」「にぎやかさ」まみれである。
うーん。社会通念上は年賀状に「冷やし中華」は不向きだろう。
分かってる。

ああ。それにしても。
この写真の「冷やし中華」の 満艦飾の具合が良い塩梅なんだよなあ。


でもなあ。年賀状だもんなあ…。


かつて…こんなことがあった。
アドビ・フォトショップで赤を基調とした…
なんというか…派手な年賀状を作ったことがる。
これは派手過ぎかなとは思ったが…ままよ。投函した。
なんの手違いか、その年賀状は12月中に相手の家に到着した。
年賀状というものは新年を待って発送される。
当然だ。ボクだって知っている。
その年賀状を受け取った友人の一人から電話がきた。
12月24日だった。

「このハガキさあ、年賀状だよな?
 ”A Happy New Year”って書いてあるもんなあ。
 これさあ、郵便局がさあ…
 クリスマス・カードと勘違いしたんじゃないかな?」

ボクは言った。

「赤基調の派手なデザインだけどな…それは年賀状だっ!
 クリスマス・イブに届いたって…それは来年の年賀状だっ!」



果たして。
「冷やし中華」画像を使うと…暑中見舞いと勘違いされるのだろうか…。


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越路吹雪 「サン・トワ・マミー」




うま【午】:①十二支の七番目 ②時刻の名。今の正午頃。③方角の名。南。

うま【馬】:奇蹄目ウマ科の哺乳類。


年賀状に添える言葉は?

「馬食を欲するな、馬鹿であれ」
(stay hungry,stay foolish:スティーブ・ジョブズ)


うま【甘】:①味がよいの意を表す。「うま酒」「うま煮」
      ②眠りの深い快いの意を表す。「うま寝」

ああ…。「うま酒」「うま煮」「うま寝」
イイなあ。うっとりする。
それじゃ、この3つで新年はリラックスするとしよう。
今年以上にね。


【蛇足】

「サン・トワ・マミー」に12月とかクリスマスのイメージを持ってるのは…ボクだけ?

歌詞をみると悲恋の歌なんだね…オロオロ。
みなさんへ「ステキな恋」が訪れることを願って…。



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